「AIを使って患者の負担を軽減し、医師の診断を支援する」長尾 茉衣子さんに聞く。

長尾茉衣子さんは、藤田医科大学を卒業し、大学院から名城大学に入学して、寺本篤司先生の研究室に所属。医療の知識と最新の視覚言語AIを使用して、患者と医師をサポートする画像診断の研究に取り組んでいます。
長尾さんに、医学系の大学から名城大学大学院に進んだ動機、大学院での研究と学生生活、将来の目標などについてお聞きしました。

長尾 茉衣子さん

 

学部時代に頑張ったことや研究成果などがあれば教えてください。

私の通っていた大学はほとんどの科目が必修で、平日は授業が詰まっており、試験前には覚えることもたくさんありました。さらに、1限から5限まで続く実験が週に複数回ある時期や、病院実習などもあり、レポートにも常に追われていたことを覚えています。そのような中でも、一つひとつの課題に向き合い、やり切る力を身につけられたことは、学部時代に頑張ったことの一つだと思っています。

大学時代の長尾さん
大学時代の長尾さん

 

修士課程に進学を決めた理由と、名城大学の大学院を選んだ理由を教えてもらえますか。

修士課程に進学を決めた理由は、自分が取り組みたい研究を深く追求したいと思ったからです。私が高校生の頃、医師から父に肺がんの疑いがあると言われたことがありました。しかし、当時は別の病気を患っていたこともあり、がんの確定診断に必要な生検のような身体への負担が大きい検査を受けることが難しい状況でした。

その経験をきっかけに、肺がんの診断を少しでも負担の少ない形で支援できる方法がないのかと調べる中で、寺本先生の研究室でAIを用いたがん診断支援の研究が行われていることを知り、自分もこの研究に携わりたいと思うようになりました。医療系で学んできた自分が、情報系の知識や技術を身につけながら、医療AIの研究に本格的に取り組める環境があると感じ、名城大学の大学院への進学を決めました。

 

現在取り組んでいる研究テーマについて説明してください。

現在は視覚言語AIモデルを用いて肺がん診断支援技術の開発を行っています。肺がんは早期に発見して治療することが重要ですが、X線やCTなどの画像だけで正確に診断するのは難しいという課題があります。

そこで、私の研究では胸部CT画像から診断レポートを自動生成し、良悪性鑑別も行えるような技術の開発を進めています。また、単に文章を生成するだけでなく、画像に対して質問を与え、その内容に応じた回答を生成する対話型のシステム(Visual Question Answering: VQA)も開発しています。

CT画像診断の対話型システム(Visual Question Answering: VQA)
CT画像診断の対話型システム(Visual Question Answering: VQA)

 

そのテーマの面白さや、取り組んでいて得られる醍醐味はどんなところですか。

この研究の面白さは、ブラックボックスになりやすいAIの判断を、文章で示せるところにあると思います。例えば、裁判で判決が「有罪」とだけ示されても、その理由や根拠がわからなければ誰も納得することはできません。どの証拠が、なぜその判断につながったのかが重要になります。医療AIも同じで、腫瘍が「良性」や「悪性」とだけ判定されても、その根拠が分からなければ、医師はその結果をそのまま信用することはできません。私の研究は、AIが画像のどこに着目し、どのような特徴を根拠に判断したのかを、より分かりやすい形で示そうとするものです。AIが画像のどのように見て、どう理解しているのかを確かめられるところに、この研究ならではの醍醐味を感じています。

 

逆に苦労している点や、失敗エピソードなどあれば教えてください。

苦労している点は、医療系出身で情報系が専門ではなかったので、プログラミングやAIの技術的な内容を理解するのに時間がかかることです。研究を始めたばかりの頃は先輩方の発表や先生の話している内容がすぐには理解できず、自分の知識不足を感じることも多かったです。ただ、分からないことはまず自分で調べて、それでも理解が難しい時は先生や先輩、同期に相談しながら一つひとつ学んできました。今でも難しさを感じることはありますが、専門外だった自分が少しずつ理解を深められていることに、成長も感じています。

 

入学して1年間で成果(表彰など)があれば紹介してください。

入学してからの1年間で、筆頭著者として英文誌に2編の論文が掲載されました。さらに、国際学会2件、国内学会6件で発表を行い、研究成果を継続的に発信してきました。その中で、日本生体医工学会東海支部大会では研究奨励賞をいただくことができ、大きな励みとなりました。研究活動の成果をさまざまな形で残すことができた1年間だったと感じています。

国際学会でのポスター展示
国際学会でのポスター展示

日本生体医工学会東海支部大会研究奨励賞
日本生体医工学会東海支部大会研究奨励賞

 

英語論文の執筆にも取り組んだと聞きましたが、いかがでしたか。次に挑戦したいことはなんですか。

英語論文の執筆については、もともと文章を書くこと自体はあまり苦手ではなかったので、その点ではあまり大きな苦労はありませんでした。一方で、情報工学やAIの技術的な内容については、まだ自分の知識が浅く理解を深めながら書く必要があり、その点は難しさを感じました。ただ、査読を通して、自分では気づけなかった点や新しい視点から研究を見直すことができ、自分の研究を俯瞰して捉えるよい機会になったと思います。

次に挑戦したいことは、研究成果を英語でより的確に、わかりやすく発信する力を高めることです。論文執筆や学会発表を通して、自分の研究の意義や面白さを伝えられるようになりたいです。

指導教官である寺本篤司 先生(左)と掲載された英文誌と一緒に。
指導教官である寺本篤司 先生(左)と掲載された英文誌と一緒に。

 

研究以外に努力していることや、学生時代に磨きたいスキルなどがあれば教えてください。

今は研究に多くの時間を使っていて、研究以外に十分時間を使えているわけではありませんが、学生のうちに磨きたいと思っているのは情報系の知識やプログラミング力です。もともと情報系が専門ではなかったこともあり、技術的な理解や実装力は、これからもさらに身につけていきたいと考えています。

 

学部時代にやっておいてよかった、あるいは、やっておけばよかったことがあれば紹介してください。

学部時代にやっておけばよかったと思うことは英語の勉強です。国際学会で発表した際に、自分の言いたいことを思うように伝えられず、もっと英語を勉強しておけばよかったと感じました。研究においては、論文を読むだけでなく、発表や質疑応答など、自分の考えを英語で伝える力も大切だと実感しています。そのため、学部のうちから少しずつでも英語力を身につけておくことは、その後の研究活動に大きく役立つと思います。

 

1日や1週間の過ごし方を教えてもらえますか。また、休日は何をして過ごしますか。

私は朝があまり得意ではないので、昼頃から研究室に行き、夜遅くに帰ることが多いです。帰宅後や休日も基本的には研究をしていることが多いですが、学会や論文に追われていない時期は、友人と遊びに行ったり、旅行に出かけたりして過ごしています。また、ピアノを小さい頃から長く習っていたこともあり、今でも時々ピアノを弾いて息抜きをしています。

 

10年後はどこで何をしていると思いますか。

まだ具体的な姿は明確には想像できていませんが、現在取り組んでいる研究は個人的な背景もあって、思い入れの強い分野です。そのため、テーマが変わったとしても、大学や企業の研究者として医療AIの分野に関わり続けていたいと考えています。

 

人生の目標や夢があれば教えてください。

人生の目標としては、何か特別大きなことを成し遂げるというよりも、自分の取り組みやこれまで積み重ねてきたことが、少しでも誰かの支えや助けにつながるように生きることです。大きな成果は日々の小さな積み重ねの先にあるものだと思うので、自分にできることを一つひとつ誠実に続けていくことを大切にしたいです。その積み重ねによって、身近な人や周囲に良い影響を与えられるような、一隅を照らす存在でありたいと思っています。

また、自分が学んできたことや経験してきたことを自分だけのものにするのではなく、誰かのために生かせる形にしていきたいとも考えています。研究においても、知識や技術を深めること自体が目的ではなく、その先で医療現場や患者さんの助けにつながることに意義があると感じています。現在取り組んでいる研究も、医師の診断や治療を支える一助となり、患者さんや医療現場に少しでも貢献できるものにしていきたいです。

 

改めて、名城大学の大学院に入学して良かったと思うことはなんでしょうか。後輩に勧めてもらえますか。

名城大学の大学院に入学してよかったと思うことは、専門分野の異なる私でも安心して学びながら、研究に取り組む環境が整っていたことです。私は他大学から進学し、情報工学は専門外でしたが、先生方や先輩方がとても丁寧に指導してくださったので、ひとつずつ理解を深めながら研究を進めることができています。

また、周囲の友人にも恵まれ、わからないことを気軽に相談できる雰囲気だったので、新しい分野に挑戦するという不安の中でも前向きに研究を続けられたと思っています。そのため、名城大学の大学院は自分の専門にとらわれず、新しい分野に挑戦したい人や、研究を深く突き詰めてみたいという人に勧めたいです。分野が違うことに不安があっても、支えてくださる先生方や先輩方、仲間がいるので、安心して学び、成長できる環境だと思います。

「グローバルエンジニアを目指してタイで異文化交流や学術交流」 中根慎哉さんと熊谷瞭さんに聞く。

情報工学科では、国際社会で活躍する「グローバルエンジニア」を育成するため、夏季休暇期間中に海外研修を実施しています。学年を超えて選抜した10名程度を2015年度より派遣しており、派遣者数はのべ100名を超えます。一般の海外旅行では得難い貴重な活動がプログラム構成されており、多くの学生が価値観を変える経験をしています。今回は、2024年度に派遣された大学院生、中根慎哉さん、熊谷瞭さんのお二人に体験談を伺いました。

プロサッカーチームのホームスタジアムにてタイ・スポーツビジネスの最前線を視察

 

2024年度の研修の概要を教えてください。

中根)私は2024年8月14日から23日の10日間、情報工学を学ぶ14名がタイ王国に滞在しました。はじめの6泊は、パトゥムタニ県にある本学協定校・ラジャマンガラ工科大学タニヤブリ校(RMUTT)内のホテル、ラジャボンゴットに宿泊しながら、施設見学、学生交流、タイ伝統舞踊体験、タイ料理の調理実習、英語での講義受講などを経験しました。後半は、チョンブリー県の日系企業2社(TTFTSおよびデンソー)の工場、バンコク市内のキングモンクット工科大学ラカバン校(KMITL)でAIプラットフォーム開発現場を視察しました。

受け入れ先のマスコミ工学部へご挨拶
受け入れ先のマスコミ工学部へご挨拶

熊谷)私は、採用された日本学術振興会特別研究員の研究課題の遂行と「グローバルエンジニア」として必要なスキルの獲得、アウトリーチ活動の訓練のために参加しました。2024年7月22日から8月23日の33日間滞在し、最初の3週間は、学生4名および引率の川澄未来子先生と共にRMUTTに滞在し、研究に取り組みました。最後の10日間は、グローバルICTエンジニア育成研修の派遣生10名と合流し、行動を共にしました。

RMUTT学長へご挨拶(左から3番目が熊谷さん)
RMUTT学長へご挨拶(左から3番目が熊谷さん)

 

タイの大学RMUTTの滞在はどうでしたか?

中根)農学部や工学部、マスコミ工学部の施設を見学しましたが、RMUTTの施設は全体的に実学を重んじていると思いました。例えばマスコミ工学部には、グリーンバックで囲まれたテニスコート2個分ほどの大掛かりで本格的な撮影・映像編集施設があり、実用的な技能を身に付けることができるようになっていました。また、交流会で知り合った19歳の学生が驚くほど流暢に日本語を話すので、「どうやって日本語を勉強したのか?」と尋ねると、「勉強したことはない。アニメを見て身に付けた」とのことでした。知識や技術は「勉強」を通じて得るものでなく、興味を持って実際にやってみることにより自然と身に付くものなのだということに気づかせられました。

スタジオ撮影とクロマキー合成・編集の体験(左から2番目が中根さん
スタジオ撮影とクロマキー合成・編集の体験(左から2番目が中根さん)

舞踊・音楽学部では、学生の中に入ってタイの伝統舞踊を体験しました。タイでは踊りに手話のような言語的な意味を持たせられると教えていただき、”I want to see you again”を意味する踊りを練習し、14人揃ってタイの学生たちの前で披露しましたが、我々の踊りがぎこちないせいで全く通じず、恥ずかしい思いをしました(笑)。

手の動きを練習する熊谷さんと中根さん
手の動きを練習する熊谷さんと中根さん

熊谷)RMUTTの大学構内はとても広く、学生はバイクや自動車で移動していました。また、無料のシャトルバスが巡回しており、昼食時等にはしばしばこれを利用したため、構内における移動で苦労したことはなかったです。

到着初日にオープンエアのレストランで歓迎会
到着初日にオープンエアのレストランで歓迎会

朝食はホテルで提供されましたが、昼食は主に構内の学食、コンビニエンスストア、売店で購入しました。売店は実験室から近く安価だったためよく利用しましたが、一部値札のない商品があったためタイ語でコミュニケーションをとる経験を得ました。夕食は学内のナイトマーケットで購入することもあれば、学外の商業施設に出かけることもありました。商業施設のフードコートでは支払いにICカードを使用し、必要に応じて残高をチャージする方式であり、日本では見ないものでした。

大学近くのマンゴー店でカオニャオマムアンを購入する熊谷さん
大学近くのマンゴー店でカオニャオマムアンを購入する熊谷さん

 

日系企業や他大学の視察では何が印象に残っていますか?

中根)日系企業TTFTSで印象的だったのは、タイの利益になるかどうかを意識して事業を展開されていた点です。機械加工部品等の加工が主業務ながら、2011年にアユタヤで洪水が起こった際には土嚢を販売したり、現地での供給業者がない場合には研磨部品まで製作するなど、徹底して現地ニーズを重視されているためか、親会社から出向して来られた日本人の社員の方が何名かいるものの、日本の企業という印象は薄かったです。

工場内を案内してくださったタイ人従業員
工場内を案内してくださったタイ人従業員

一方、デンソーのパンパゴン工場では、TTFTSとは対照的に、タイの労働力を活用して事業展開している日本企業という感がありました。労働力が安いため、全自動化より半自動化を目指しているとのことで、日本では耳にしない課題だと驚きました。ビジネス展開する地域によって悩みや課題が変わることを学びました。

モビリティ産業のグローバリズムやASEANのIT事情などの説明
モビリティ産業のグローバリズムやASEANのIT事情などの説明

KMITLでは、CiRA Coreというタイ純正のローコード型AIプラットフォームの開発現場を見せていただきました。タイではプログラミング教育を英語で行うためプログラマーが少ないことが課題で、その問題解決のために開発されたとのことですが、現在は医療や自動車工業など幅広い領域で活用されているそうです。開発経緯を聞いて「イノベーションというのは解決すべき大きな課題が意識されて初めて起こるものなのだ」と気づきました。

大学発スタートアップの現場を視察
大学発スタートアップの現場を視察

 

3週間の研究生活はどうでしたか?

熊谷)タイの自動車ナンバープレート検出モデルに対する「敵対的パッチ」による回避攻撃をテーマとしました。「敵対的パッチ」とは、AIによる物体検出を回避するための攻撃手法の1つで、特殊な柄の画像(パッチ)を検出されるべき物体に貼り付けて、物体検出モデルがその物体を正しく検出することを不可能にするものです。AIベースの自動車ナンバープレート検出器は交通安全や犯罪捜査において応用が見込まれており、これらを機能不全にする「敵対的パッチ」は脅威です。そこで、「敵対的パッチ」が環境の色の変化に対してどのように変化するか評価実験を行いました。

RMUTTの実験室で毎日研究する熊谷さん
RMUTTの実験室で毎日研究する熊谷さん

RMUTTのColor Research Centerに所属する先生方や工学部の先生等と1週間に1回程度のミーティングを行い多くの助言をいただき、それらを参考にカラーフィルタの強度およびその色相の条件を決定しました。ここから得られた知見をもとに、実際に「敵対的パッチ」の脅威からシステムを保護する手法を検討したいと思っています。

KMITLでも研究成果のプレゼン
KMITLでも研究成果のプレゼン

 

最後にこの研修に参加した感想を教えていただけますか?

中根)海外に10日間もいたのは初めてで、大学内でもバンコクでも非常に幅広い経験ができました。週末には、世界遺産の街として知られるアユタヤと、チャオプラヤー川に浮かぶ島コ・クレットを訪れました。その際、僧侶から説法を受ける機会もありました。

普段と異なる環境での体験やコミュニケーションを通じて、英語が瞬時に出てこない等、自身の課題をいくつも見つけることができました。また、今まで気が付かなかった自分の好きなことにも発見することができました。

休日は世界遺産アユタヤへ
休日は世界遺産アユタヤへ

熊谷)5年前に滞在した時とは違い、都心の店舗だけでなくマーケットの屋台に至るまでQRコード決済が普及していたこと、タイ国内企業による自動販売機「TAO BIN」が至る所に設置されていたこと、中国企業のEVが多く見られたこと等、多くの発見がありました。タイのAIシステムに関する自身の研究や、電子決済の普及、バンコクで開催された科学技術イベント、KMITLでのタイ国産AIプラットフォーム「CiRA-Core」を目の当たりにする中で、日本の工学研究者として自分がどのように振る舞い、今後の日本の社会や技術シーンに対し如何にして貢献できるかを常に考えさせられる研修でした。

バンコクの科学技術展示会 SCI-POWER for future Thailandを視察
バンコクの科学技術展示会 SCI-POWER for future Thailandを視察

「日本人と中国人の感性構造を分析する」金航さんに聞く。

金航(キン・コウ)さんは、中国の北部にある遼寧省・鉄嶺市出身の留学生。大学は近隣の大連にある、大連外国語大学のコンピュータ科学技術を専攻していました。名城大学大学院での研究や生活についてお聞きしました。

国際会議でポスター発表を説明する金さん

 

金さんも昔から日本に関心があったとのこと。なぜ日本に興味があったんでしょうか?

私も日本のアニメを昔から見ていました。特に好きだったのは『名探偵コナン』です。

 

だからコナン・ドイルやアガサ・クリスティーといったミステリー小説も好きなんですね。特技は箏やダンスとのことですが。

琴は小さい頃からしていました。でも、日本でやっているような糸を強く張った琴じゃなくて、中国の箏です。ダンスも伝統的なもので、高校時代は学校芸術祭(学園祭)で、赤い衣装を着て披露しました。

 

愛知県(名古屋)を留学先に選んだ理由は何でしょうか?

もともと中国の大学では日本語を勉強していて、旅行でも東京と大阪に2回訪れたことがありました。でも、こちらに来るときは、コロナによる行動制限も緩和されていて、東京はすごく混んでいるので、名古屋がいいと思いました。英語の先生をしている母親の勧めもあって、名古屋工業大学大学院で研究生を6か月しながら探しました。

 

名城大学の川澄研究室を選んだ理由は何ですか?

大学のウェブサイトを探していて、名城大学の理工学研究科はノーベル賞受賞した先生も在籍していることを知りました。それで自分の勉強したいテーマのある研究室を探していて川澄先生の研究室を見つけたんです。情報工学の中で川澄先生だけ女性の先生ということもありました。

 

名城大学の印象はどうですか?

男子学生が多いと感じます(笑)。中国では半分半分くらいでした。

企業と合同のアイディアソン
企業と合同のアイディアソン

 

研究はどのようなことをされているんでしょうか?

「季節景観に対する日本人と中国人の感性の定量的分析」を研究テーマにしています。

 

それはどのような内容ですか?

もともと川澄先生の研究の中に、愛知の伝統的な街並みが残る一宮・常滑・有松の風景の中の色の印象を調べるものがあり、昨年、共著者として関わりました。ただ、風景の印象は、日本人と中国人は異なりますし、中国人でも北部出身者と南部出身者では異なると思います。その特徴がわかれば、観光客も含めた景観のガイドラインにつながるのではないかと思います。

 

今回は岐阜県の高山市をテーマにするようですね。

岐阜県の高山市(飛騨高山)は、世界遺産の白川郷も近く、雪も降るので観光客に人気があるとのことで、川澄先生に推薦してもらいました。

 

大学院で難しいと感じている点はどこでしょうか?

大学時代は、授業で意見を言ったり議論したりした経験がなくて、それを日本語で行うのが大変でした。

国際会議のバンケットにて同じ川澄研究室の周逸竹さんと一緒に(左)
国際会議のバンケットにて同じ川澄研究室の周逸竹さんと一緒に(左)

 

勉強になっている点はどこでしょうか?

研究テーマを学会や国内で発表する経験ですね。それからタイ・チェンライで開催された国際会議に出席し、共著者のポスターセッションの英語での説明をサポートしました。

 

修了までに挑戦したいことはありますか?

国際会議に出るために英語の論文の執筆と発表を頑張りたいです。6月にも九州で開催される日本色彩学会全国大会に共著者として発表する予定です。

 

日本で生活していて不便なことや、逆に快適なことはありますか?

トイレが綺麗で使いやすいです。ただ、日本のウォームレットやウォシュレットは中国では有名で驚くことはなかったです(笑)。後、学校のエレベーターやエスカレーターは中国でもありますが、数は少ないので使いませんが、日本では使いますね。

 

いちご飴店でアルバイトしているそうですが、特に困ったり嫌なことはないですか?

友達の紹介でアルバイトを始めたのですが、みんな親切で困ったことはないですね。

 

将来の夢を教えてくれますか?

将来は上海で働きたいなと思っています。ただ、ずっと上海にいるかどうかはわかりません。それから、いろんな成長の機会をくれた両親のために親孝行をしたいですね。

国際会議にて川澄先生の研究室メンバーと一緒に(中央)
国際会議にて川澄先生の研究室メンバーと一緒に(中央)

「アニメで知った日本に来て自分の可能性を広げたい。」周逸竹さんに聞く。

周逸竹(シュウ・イツチク)さんは、中国の北部にある黒竜江省・ハルビン市出身の留学生です。大学は、中国の南部にある杭州電子科技大学で情報管理と情報システムを専攻していました。名城大学大学院での研究や生活についてお聞きしました。

学会発表をする周さん

 

日本には昔から関心があったという周さん。なぜ日本に興味があったんですか?

日本のアニメを昔から見ていました。特にお気に入りだったのは『NARUTO -ナルト-』です。だから、日本の剣術に興味があって、大学時代は3年間、剣道部に入っていました。マンガやアニメはほとんど同時に中国でも見ることができるので、部の仲間ともよく話をしていました。

 

防具を付けるのは大変じゃなかったですか?中国では日本の剣道が盛んなんでしょうか?

あの防具がかっこいいと思ったんです。中国でも剣道は盛んです。アリババの剣道部はとても強いんですよ。

 

なぜ愛知県(名古屋)を選んだのでしょうか?

名古屋の医療系の大学院を修了して、起業している叔父さんが住んでいるんです。

 

名城大学の川澄研究室を選んだ理由は何ですか?

叔父さんの勧めもあって、名城大学を選びました。ウェブサイトを見て、川澄先生の研究室を見つけました。情報工学の中で女性が川澄先生だったということもあります(笑)。

 

名城大学の印象はどうですか?

学生がとてもお洒落で、部活でも活躍しているイメージがあります。

 

研究はどのようなことをされているんでしょうか?

「次世代モビリティの室内照明空間における生理計測を用いた感情分析」を研究テーマにしています。

 

なぜそのテーマを選んだんでしょうか?

川澄先生がされているさまざまな研究の中で関心を持ちました。自動運転が進展するなかで、車内環境の改善はますます重要になると思います。また、名古屋という自動車産業が盛んな地域でもあり、日本で就職したいということもあって、この研究は企業と共同研究をしているので、将来の役に立つだろうということで、川澄先生にも勧めていただきました。

 

生理計測実験をする周さん(右端)
生理計測実験をする周さん(右端)

 

研究で面白いところはどこですか?

このような研究は大学時代はしていませんし、心電や脳波といった生理データをデバイスを使って計測することも面白いと思いました。企業との共同研究や企業での実験も初めてで、とても勉強になっています。

 

大学院で難しいと感じている点はどこでしょうか?

日本での授業や研究室のミーティングが初めてで、慣れるのが大変でした。自分の役割、求められることの意図を掴むことが今も難しいと感じています。

 

国際会議のエスカレーションにて同じ川澄研究室の金航さんと一緒に(左)
国際会議のエスカレーションにて同じ川澄研究室の金航さんと一緒に(左)

 

川澄先生は、周さんはとても深く思考し、論理的なので研究に向いているとおっしゃってますね。修了までに身につけたいことはどのようなことでしょうか?

タイで国際会議に共著者として出席し、ポスターセッションを手伝いました。これから国際会議での発表も目標にしていて、上手くプレゼンテーションをできるようになりたいです。

 

学部生への研究のプレゼンテーションやプログラミング演習(Java)のティーチングアシスタント(TA)もやっていますね。

今まで2回学会でスライド発表をしましたが、人前に立つのはとても緊張しました。

 

長期休暇では高知に行かれたそうですね。なぜ高知に行きたかったんでしょうか?

ゲームの影響で坂本龍馬が好きだったんです(笑)。同じく坂本竜馬が好きな中国人の友達と一緒に行って、鰹のたたきを食べてとてもおいしかったです。『ゴールデンカムイ』が好きなので、北海道にも行ってみたいです。

 

「鰹のたたき」の他に一番好きな食べ物は「たこ焼き」だそうですね。

「たこ焼き」は研究室のパーティーで自分でつくることにも挑戦しました。

 

たこ焼きづくりに挑戦する周さん
たこ焼きづくりに挑戦する周さん

 

これから名城大学に留学してくる学生のために日本で生活するアドバイスはありますか?

タクシーとフルーツが高いなと思いますが、今のところ快適にすごしています。出身のハルビンはとても寒いですが、名古屋はあたたかいです。また、大学時代を過ごした杭州は蚊が年中いるので苦手でしたが、こちらは冬になると出なくなるので、そんなにいないなと思いました。新幹線や電車の移動は荷物検査や身分証明書がなくても乗れるし、コンビニはチケットが買えるサービスなど何でもあるのでとても便利ですね。

 

将来の夢を教えてくれますか?

将来は愛知県の企業で就職してバリバリ働きたいです。東京は向いてないと思うので……。ただ、20年後くらいには中国に帰って、育ててくれた両親に親孝行したいですね。

 

研究室の卒業生たちとホームパーティ
研究室の卒業生たちとホームパーティ

「OSSのスペシャリストになりたい」村松 侑さんに聞く。

高校時代からOSS(オープンソフトソフトウェア)でプログラミングを行い、大学ではチャレンジ支援プログラムによる社会活動や多くのハッカソンなどに出場している村松 侑さんにお聞きしました。

 

高校時代までに頑張ったことや特徴的な活動や成果があれば教えてください。

高校生のころは部活やプログラミングを頑張っていました(もちろん勉強もです!)。部活では、吹奏楽部に参加していました。楽器は、中学生の頃から吹いているアルトサックスをしていました。現在も大学の應援團吹奏楽部にてアルトサックスを吹いています。多くの人たちで音を作り出す吹奏楽はとても楽しいです。

吹奏楽部の定期演奏会(右端)

プログラミングでは、高校2年生のコロナ禍にてOSSとして公開されていた「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」に対してコントリビュートを行ったところからプログラミングの「沼」にはまりました。その後も様々なOSSへのコントリビュートを行っていました。自分が行った変更や新機能が多くの方が利用すると思うととても喜びを感じていました。また、東京都新型コロナウイルス感染症対策サイトを派生して自身の住んでいた市区町村の新型コロナウイルス感染症対策サイトを作成していました。

GitHub上の東京都COVID-19対策サイト

情報工学部を選んだ理由を教えてください。

高校生の頃からプログラミングが好きで、将来もこの知識や技術を活かせる職に就きたいと思い情報工学部を選びました。

 

名城大学を選んだ理由を教えてください。

1番の理由は歴史があり安心して学べると思った事です。また、キャンパスが綺麗で、多くの学部があり、サークルや部活も充実していました。

 

入学後に受講した科目で印象に残っているもの、頑張ったこと、失敗したことなどを教えてください。

「創造的思考法」の授業が印象に残っています。授業の前半では、様々な問題解決のための思考法を学びました。授業の後半では、授業内で出される特定の問題を解決するために、チームを組み、今まで学習してきた思考法を利用してどのようにして問題解決を行うことが良いかを導き出し、最後の授業で解決方法を発表するというものでした。

私たちのチームでは、授業内で出された問題を解決するためにアプリケーションを用いて解決するのが良いと考え、Figmaを用いてプロトタイプ作成を行い、それを元に発表を行いました。私は、インターンや独自でFigmaを利用したことがあったものの、他のチームメンバーは利用したことがなかったため、1からFigmaの使い方を説明しながらプロトタイプを作成していきました。最終的には、私が何もしなくてもチームメンバーが新規画面を作成できるようになりました。

最後の授業での発表後、最もイノベーティブだったチームはどこだったかという投票があり、投票の結果、私のチームが最もイノベーティブな解決方法だったとなりました。

 

入学後に正規のカリキュラム以外でチャレンジしたこと、学外も含めて特徴的な活動や成果などを教えてください。

1年生の時に共に選抜された名城大学チャレンジ支援プログラムの活動の一つとして、現在、理工学部との合同チーム(BenefiTech)で大学近くにあるレストランのオーナー(料理研究家)の方と協働し、ITなど様々な手段を利用して、介護が必要な人への料理のデリバリーや子どもたちへの食育など、地域貢献できるサービスの構築を模索しています。

料理研究家と打合せ後にレストランの前でBenefiTechメンバーと(左端)

ハッカソンやピッチコンテスト(投資家などの審査員に対して事業計画やアプリケーションをプレゼンテーションするイベント)にも出ているとのことですが?

先日、東京大学で開催された技育展2023(ITエンジニアを目指す学生のためのピッチコンテスト)の決勝大会でファーストラウンドを通過しファイナリストに残りました。受賞したプロダクトは、あとで読みたいと思ったWebサイトを整理してまとめ読み忘れを防ぐアプリ「つんどくん」です。インターンで知り合った関東から関西にまたがる異なる地域に居住する5名のチームで開発し、8月のブロック予選(オンライン)を勝ち抜き、最後のステージまで進めたのは、大きな自信となりました。

技育展2023決勝大会で開発アプリ「つんどくん」をプレゼン

学期中の休日はどこで何をしてどのように過ごしていますか?

部活に行くことや、パソコンで何かを制作しています。オンラインプログラミングスクールでのメンター業務をしていることもあります。

 

長期休暇はどこで何をしてどのように過ごしていますか?

帰省やインターンに参加しています。また、大学の吹奏楽部にて合宿もあるので合宿に参加しています。

 

将来の夢や人生の目標はありますか?

特定の技術のスペシャリストになりたいというのがあります。私がOSS(オープンソースソフトウェア)からプログラミングを本格的に始めたので大きなOSSのソフトウェアやプログラムを作りたいです。

 

大学に入学してみて、情報工学の魅力や面白さは何だと思いましたか?

日々、私たちが利用しているPCなど様々なものの仕組みを学ぶことが出来ることが面白いです。また、創造的思考法といった今使われている思考法を学ぶことにより新たな視点でものを見る力がついたと思います。

 

名城大学に入学して良かったと思うことはありますか?

M-Studioやチャレンジ支援プログラム、単発の講習会など興味がある学生のための機会に対する予算がとても多くとられていると思います。

IT企業のインターンとして成果発表

「世界で活躍するシステムエンジニアを目指す」三宅凜太郎さんに聞く。

大学入学前から海外生活を経験し、名城大学情報工学部に入学後、グローバルエンジニア研修(タイ)などを経て、世界で活躍するエンジニアを目指す三宅凜太郎さんにお聞きしました。

グローバルエンジニア研修(タイ)での゙自己紹介プレゼン

 

高校時代までに頑張ったことや特徴的な活動や成果があれば教えてください。

高校野球です。今までに経験したことのないハードな部活と勉学とで、最初は体重が落ち、練習についていけませんでした。キャプテンとぶつかることもありましたが、最終的には一緒に自主練をするほど仲良くなりました。公式戦の前日に大怪我をしたりするなど挫折もありましたが、やり遂げたのは仲間との出会いが大きいです。

高校時代に打ち込んだ野球

高校野球では、一致団結する難しさと、その結束の大切さを目の当たりにしました。僕らの学年は20人おり、なかなかまとまる事が難しかったんですが、皆がチームのためにという思いで行動し、チームが一つになった時の達成感は忘れられない。最後に負けた時、これほど涙が出るのかというくらい泣きました。そこで本当にこの仲間の大切さに気づきました。
 

情報工学部を選んだ理由を教えてください。

AIなどに興味があり、これからの社会に必要とされるIT全般を学べると思ったからです。

 

AIに興味をもったきっかけは?

映画などを見る度に、最新のIT技術の展開や、どのようにして動かしているのか気になったので。

 

入学後に受講した科目で印象に残っているもの、頑張ったこと、失敗したことなどを教えてください。

プログラミング演習ですね。世の中のあらゆるものにプログラミングが用いられているのを知り、さらに深く学びたいと思いました。なかなか思うように行かず、何日も大学に残り仲間と学び合いました。

 

入学後に正規のカリキュラム以外でチャレンジしたこと、学外も含めて特徴的な活動や成果などを教えてください。

グローバルエンジニア研修です。情報工学部のプログラムでタイ研修に参加しました。現地の学生と交流したり、英語で授業を受け、さらに英語を極め、視野を広げたいと感じました。

ラジャマンガラ工科大学タニヤブリ校(タイ)、チョンプー准教授による色彩科学の講義
日系企業TT FTS社長からタイでの製品ニーズの説明を受ける(左端)

企業訪問を通して、自分たちが学んでいる情報工学は多くの場面で必要であり、重要であることを学びました。具体的な「生」の話を聞けたので、自分のビジョンを想像しやすくなりました。また、タイの文化や人に触れ、たくさんの刺激を受けとても貴重な経験になりました。

バンコク・スラム街の福祉施設で移民の子どもたちと交流(左端)
タイの伝統衣装を身につけて世界遺産アユタヤを堪能(中央)

学期中の休日はどこで何をしてどのように過ごしていますか?

映画や音楽鑑賞、スポーツ観戦、地元の友達と交流しています。その他にアルバイトをしたり、サークルにも参加しています。

 

長期休暇はどこで何をしてどのように過ごしていますか?

旅行、バイトですね。昨年は、北は北海道、南は石垣島、他には京都、関東など旅行や帰省を通して、新たな発見と自分を探しています。

 

学生時代に挑戦したいことはありますか?

留学をしたいですね。プライベートではサーフィン。IT資格も取得したいです。

 

どこに留学したいですか?

アメリカに留学したいです。AIの最先端はアメリカだと思うので、自分の肌で感じて学びを深めたいです。

 

将来の夢や人生の目標はありますか?

グローバルな環境でITに関わる仕事に就きたいです。システムエンジニアとして活躍し、世界を旅したいです。

 

大学に入学してみて、情報工学の魅力や面白さは何だと思いましたか?

世の中で必要とされている利便性、安全性、機能性を網羅した新たな取り組みを色々な分野で展開できるという、新しい発見の連続があることです。

 

名城大学に入学して良かったと思うことがあれば教えてください。

タイ研修ですね。授業や課題など大変なことや、仲間ができて、考えを交わし合う機会が増えました。

グローバルエンジニア研修(タイ)で交流した現地の学生たちと(右端)
お世話になった滞在先、ラジャマンガラ工科大学の学長を囲んで(右から2番目)