「日本人と中国人の感性構造を分析する」金航さんに聞く。

金航(キン・コウ)さんは、中国の北部にある遼寧省・鉄嶺市出身の留学生。大学は近隣の大連にある、大連外国語大学のコンピュータ科学技術を専攻していました。名城大学大学院での研究や生活についてお聞きしました。

国際会議でポスター発表を説明する金さん

 

金さんも昔から日本に関心があったとのこと。なぜ日本に興味があったんでしょうか?

私も日本のアニメを昔から見ていました。特に好きだったのは『名探偵コナン』です。

 

だからコナン・ドイルやアガサ・クリスティーといったミステリー小説も好きなんですね。特技は箏やダンスとのことですが。

琴は小さい頃からしていました。でも、日本でやっているような糸を強く張った琴じゃなくて、中国の箏です。ダンスも伝統的なもので、高校時代は学校芸術祭(学園祭)で、赤い衣装を着て披露しました。

 

愛知県(名古屋)を留学先に選んだ理由は何でしょうか?

もともと中国の大学では日本語を勉強していて、旅行でも東京と大阪に2回訪れたことがありました。でも、こちらに来るときは、コロナによる行動制限も緩和されていて、東京はすごく混んでいるので、名古屋がいいと思いました。英語の先生をしている母親の勧めもあって、名古屋工業大学大学院で研究生を6か月しながら探しました。

 

名城大学の川澄研究室を選んだ理由は何ですか?

大学のウェブサイトを探していて、名城大学の理工学研究科はノーベル賞受賞した先生も在籍していることを知りました。それで自分の勉強したいテーマのある研究室を探していて川澄先生の研究室を見つけたんです。情報工学の中で川澄先生だけ女性の先生ということもありました。

 

名城大学の印象はどうですか?

男子学生が多いと感じます(笑)。中国では半分半分くらいでした。

企業と合同のアイディアソン
企業と合同のアイディアソン

 

研究はどのようなことをされているんでしょうか?

「季節景観に対する日本人と中国人の感性の定量的分析」を研究テーマにしています。

 

それはどのような内容ですか?

もともと川澄先生の研究の中に、愛知の伝統的な街並みが残る一宮・常滑・有松の風景の中の色の印象を調べるものがあり、昨年、共著者として関わりました。ただ、風景の印象は、日本人と中国人は異なりますし、中国人でも北部出身者と南部出身者では異なると思います。その特徴がわかれば、観光客も含めた景観のガイドラインにつながるのではないかと思います。

 

今回は岐阜県の高山市をテーマにするようですね。

岐阜県の高山市(飛騨高山)は、世界遺産の白川郷も近く、雪も降るので観光客に人気があるとのことで、川澄先生に推薦してもらいました。

 

大学院で難しいと感じている点はどこでしょうか?

大学時代は、授業で意見を言ったり議論したりした経験がなくて、それを日本語で行うのが大変でした。

国際会議のバンケットにて同じ川澄研究室の周逸竹さんと一緒に(左)
国際会議のバンケットにて同じ川澄研究室の周逸竹さんと一緒に(左)

 

勉強になっている点はどこでしょうか?

研究テーマを学会や国内で発表する経験ですね。それからタイ・チェンライで開催された国際会議に出席し、共著者のポスターセッションの英語での説明をサポートしました。

 

修了までに挑戦したいことはありますか?

国際会議に出るために英語の論文の執筆と発表を頑張りたいです。6月にも九州で開催される日本色彩学会全国大会に共著者として発表する予定です。

 

日本で生活していて不便なことや、逆に快適なことはありますか?

トイレが綺麗で使いやすいです。ただ、日本のウォームレットやウォシュレットは中国では有名で驚くことはなかったです(笑)。後、学校のエレベーターやエスカレーターは中国でもありますが、数は少ないので使いませんが、日本では使いますね。

 

いちご飴店でアルバイトしているそうですが、特に困ったり嫌なことはないですか?

友達の紹介でアルバイトを始めたのですが、みんな親切で困ったことはないですね。

 

将来の夢を教えてくれますか?

将来は上海で働きたいなと思っています。ただ、ずっと上海にいるかどうかはわかりません。それから、いろんな成長の機会をくれた両親のために親孝行をしたいですね。

国際会議にて川澄先生の研究室メンバーと一緒に(中央)
国際会議にて川澄先生の研究室メンバーと一緒に(中央)

「アニメで知った日本に来て自分の可能性を広げたい。」周逸竹さんに聞く。

周逸竹(シュウ・イツチク)さんは、中国の北部にある黒竜江省・ハルビン市出身の留学生です。大学は、中国の南部にある杭州電子科技大学で情報管理と情報システムを専攻していました。名城大学大学院での研究や生活についてお聞きしました。

学会発表をする周さん

 

日本には昔から関心があったという周さん。なぜ日本に興味があったんですか?

日本のアニメを昔から見ていました。特にお気に入りだったのは『NARUTO -ナルト-』です。だから、日本の剣術に興味があって、大学時代は3年間、剣道部に入っていました。マンガやアニメはほとんど同時に中国でも見ることができるので、部の仲間ともよく話をしていました。

 

防具を付けるのは大変じゃなかったですか?中国では日本の剣道が盛んなんでしょうか?

あの防具がかっこいいと思ったんです。中国でも剣道は盛んです。アリババの剣道部はとても強いんですよ。

 

なぜ愛知県(名古屋)を選んだのでしょうか?

名古屋の医療系の大学院を修了して、起業している叔父さんが住んでいるんです。

 

名城大学の川澄研究室を選んだ理由は何ですか?

叔父さんの勧めもあって、名城大学を選びました。ウェブサイトを見て、川澄先生の研究室を見つけました。情報工学の中で女性が川澄先生だったということもあります(笑)。

 

名城大学の印象はどうですか?

学生がとてもお洒落で、部活でも活躍しているイメージがあります。

 

研究はどのようなことをされているんでしょうか?

「次世代モビリティの室内照明空間における生理計測を用いた感情分析」を研究テーマにしています。

 

なぜそのテーマを選んだんでしょうか?

川澄先生がされているさまざまな研究の中で関心を持ちました。自動運転が進展するなかで、車内環境の改善はますます重要になると思います。また、名古屋という自動車産業が盛んな地域でもあり、日本で就職したいということもあって、この研究は企業と共同研究をしているので、将来の役に立つだろうということで、川澄先生にも勧めていただきました。

 

生理計測実験をする周さん(右端)
生理計測実験をする周さん(右端)

 

研究で面白いところはどこですか?

このような研究は大学時代はしていませんし、心電や脳波といった生理データをデバイスを使って計測することも面白いと思いました。企業との共同研究や企業での実験も初めてで、とても勉強になっています。

 

大学院で難しいと感じている点はどこでしょうか?

日本での授業や研究室のミーティングが初めてで、慣れるのが大変でした。自分の役割、求められることの意図を掴むことが今も難しいと感じています。

 

国際会議のエスカレーションにて同じ川澄研究室の金航さんと一緒に(左)
国際会議のエスカレーションにて同じ川澄研究室の金航さんと一緒に(左)

 

川澄先生は、周さんはとても深く思考し、論理的なので研究に向いているとおっしゃってますね。修了までに身につけたいことはどのようなことでしょうか?

タイで国際会議に共著者として出席し、ポスターセッションを手伝いました。これから国際会議での発表も目標にしていて、上手くプレゼンテーションをできるようになりたいです。

 

学部生への研究のプレゼンテーションやプログラミング演習(Java)のティーチングアシスタント(TA)もやっていますね。

今まで2回学会でスライド発表をしましたが、人前に立つのはとても緊張しました。

 

長期休暇では高知に行かれたそうですね。なぜ高知に行きたかったんでしょうか?

ゲームの影響で坂本龍馬が好きだったんです(笑)。同じく坂本竜馬が好きな中国人の友達と一緒に行って、鰹のたたきを食べてとてもおいしかったです。『ゴールデンカムイ』が好きなので、北海道にも行ってみたいです。

 

「鰹のたたき」の他に一番好きな食べ物は「たこ焼き」だそうですね。

「たこ焼き」は研究室のパーティーで自分でつくることにも挑戦しました。

 

たこ焼きづくりに挑戦する周さん
たこ焼きづくりに挑戦する周さん

 

これから名城大学に留学してくる学生のために日本で生活するアドバイスはありますか?

タクシーとフルーツが高いなと思いますが、今のところ快適にすごしています。出身のハルビンはとても寒いですが、名古屋はあたたかいです。また、大学時代を過ごした杭州は蚊が年中いるので苦手でしたが、こちらは冬になると出なくなるので、そんなにいないなと思いました。新幹線や電車の移動は荷物検査や身分証明書がなくても乗れるし、コンビニはチケットが買えるサービスなど何でもあるのでとても便利ですね。

 

将来の夢を教えてくれますか?

将来は愛知県の企業で就職してバリバリ働きたいです。東京は向いてないと思うので……。ただ、20年後くらいには中国に帰って、育ててくれた両親に親孝行したいですね。

 

研究室の卒業生たちとホームパーティ
研究室の卒業生たちとホームパーティ

「OSSのスペシャリストになりたい」村松 侑さんに聞く。

高校時代からOSS(オープンソフトソフトウェア)でプログラミングを行い、大学ではチャレンジ支援プログラムによる社会活動や多くのハッカソンなどに出場している村松 侑さんにお聞きしました。

 

高校時代までに頑張ったことや特徴的な活動や成果があれば教えてください。

高校生のころは部活やプログラミングを頑張っていました(もちろん勉強もです!)。部活では、吹奏楽部に参加していました。楽器は、中学生の頃から吹いているアルトサックスをしていました。現在も大学の應援團吹奏楽部にてアルトサックスを吹いています。多くの人たちで音を作り出す吹奏楽はとても楽しいです。

吹奏楽部の定期演奏会(右端)

プログラミングでは、高校2年生のコロナ禍にてOSSとして公開されていた「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」に対してコントリビュートを行ったところからプログラミングの「沼」にはまりました。その後も様々なOSSへのコントリビュートを行っていました。自分が行った変更や新機能が多くの方が利用すると思うととても喜びを感じていました。また、東京都新型コロナウイルス感染症対策サイトを派生して自身の住んでいた市区町村の新型コロナウイルス感染症対策サイトを作成していました。

GitHub上の東京都COVID-19対策サイト

情報工学部を選んだ理由を教えてください。

高校生の頃からプログラミングが好きで、将来もこの知識や技術を活かせる職に就きたいと思い情報工学部を選びました。

 

名城大学を選んだ理由を教えてください。

1番の理由は歴史があり安心して学べると思った事です。また、キャンパスが綺麗で、多くの学部があり、サークルや部活も充実していました。

 

入学後に受講した科目で印象に残っているもの、頑張ったこと、失敗したことなどを教えてください。

「創造的思考法」の授業が印象に残っています。授業の前半では、様々な問題解決のための思考法を学びました。授業の後半では、授業内で出される特定の問題を解決するために、チームを組み、今まで学習してきた思考法を利用してどのようにして問題解決を行うことが良いかを導き出し、最後の授業で解決方法を発表するというものでした。

私たちのチームでは、授業内で出された問題を解決するためにアプリケーションを用いて解決するのが良いと考え、Figmaを用いてプロトタイプ作成を行い、それを元に発表を行いました。私は、インターンや独自でFigmaを利用したことがあったものの、他のチームメンバーは利用したことがなかったため、1からFigmaの使い方を説明しながらプロトタイプを作成していきました。最終的には、私が何もしなくてもチームメンバーが新規画面を作成できるようになりました。

最後の授業での発表後、最もイノベーティブだったチームはどこだったかという投票があり、投票の結果、私のチームが最もイノベーティブな解決方法だったとなりました。

 

入学後に正規のカリキュラム以外でチャレンジしたこと、学外も含めて特徴的な活動や成果などを教えてください。

1年生の時に共に選抜された名城大学チャレンジ支援プログラムの活動の一つとして、現在、理工学部との合同チーム(BenefiTech)で大学近くにあるレストランのオーナー(料理研究家)の方と協働し、ITなど様々な手段を利用して、介護が必要な人への料理のデリバリーや子どもたちへの食育など、地域貢献できるサービスの構築を模索しています。

料理研究家と打合せ後にレストランの前でBenefiTechメンバーと(左端)

ハッカソンやピッチコンテスト(投資家などの審査員に対して事業計画やアプリケーションをプレゼンテーションするイベント)にも出ているとのことですが?

先日、東京大学で開催された技育展2023(ITエンジニアを目指す学生のためのピッチコンテスト)の決勝大会でファーストラウンドを通過しファイナリストに残りました。受賞したプロダクトは、あとで読みたいと思ったWebサイトを整理してまとめ読み忘れを防ぐアプリ「つんどくん」です。インターンで知り合った関東から関西にまたがる異なる地域に居住する5名のチームで開発し、8月のブロック予選(オンライン)を勝ち抜き、最後のステージまで進めたのは、大きな自信となりました。

技育展2023決勝大会で開発アプリ「つんどくん」をプレゼン

学期中の休日はどこで何をしてどのように過ごしていますか?

部活に行くことや、パソコンで何かを制作しています。オンラインプログラミングスクールでのメンター業務をしていることもあります。

 

長期休暇はどこで何をしてどのように過ごしていますか?

帰省やインターンに参加しています。また、大学の吹奏楽部にて合宿もあるので合宿に参加しています。

 

将来の夢や人生の目標はありますか?

特定の技術のスペシャリストになりたいというのがあります。私がOSS(オープンソースソフトウェア)からプログラミングを本格的に始めたので大きなOSSのソフトウェアやプログラムを作りたいです。

 

大学に入学してみて、情報工学の魅力や面白さは何だと思いましたか?

日々、私たちが利用しているPCなど様々なものの仕組みを学ぶことが出来ることが面白いです。また、創造的思考法といった今使われている思考法を学ぶことにより新たな視点でものを見る力がついたと思います。

 

名城大学に入学して良かったと思うことはありますか?

M-Studioやチャレンジ支援プログラム、単発の講習会など興味がある学生のための機会に対する予算がとても多くとられていると思います。

IT企業のインターンとして成果発表

「世界で活躍するシステムエンジニアを目指す」三宅凜太郎さんに聞く。

大学入学前から海外生活を経験し、名城大学情報工学部に入学後、グローバルエンジニア研修(タイ)などを経て、世界で活躍するエンジニアを目指す三宅凜太郎さんにお聞きしました。

グローバルエンジニア研修(タイ)での゙自己紹介プレゼン

 

高校時代までに頑張ったことや特徴的な活動や成果があれば教えてください。

高校野球です。今までに経験したことのないハードな部活と勉学とで、最初は体重が落ち、練習についていけませんでした。キャプテンとぶつかることもありましたが、最終的には一緒に自主練をするほど仲良くなりました。公式戦の前日に大怪我をしたりするなど挫折もありましたが、やり遂げたのは仲間との出会いが大きいです。

高校時代に打ち込んだ野球

高校野球では、一致団結する難しさと、その結束の大切さを目の当たりにしました。僕らの学年は20人おり、なかなかまとまる事が難しかったんですが、皆がチームのためにという思いで行動し、チームが一つになった時の達成感は忘れられない。最後に負けた時、これほど涙が出るのかというくらい泣きました。そこで本当にこの仲間の大切さに気づきました。
 

情報工学部を選んだ理由を教えてください。

AIなどに興味があり、これからの社会に必要とされるIT全般を学べると思ったからです。

 

AIに興味をもったきっかけは?

映画などを見る度に、最新のIT技術の展開や、どのようにして動かしているのか気になったので。

 

入学後に受講した科目で印象に残っているもの、頑張ったこと、失敗したことなどを教えてください。

プログラミング演習ですね。世の中のあらゆるものにプログラミングが用いられているのを知り、さらに深く学びたいと思いました。なかなか思うように行かず、何日も大学に残り仲間と学び合いました。

 

入学後に正規のカリキュラム以外でチャレンジしたこと、学外も含めて特徴的な活動や成果などを教えてください。

グローバルエンジニア研修です。情報工学部のプログラムでタイ研修に参加しました。現地の学生と交流したり、英語で授業を受け、さらに英語を極め、視野を広げたいと感じました。

ラジャマンガラ工科大学タニヤブリ校(タイ)、チョンプー准教授による色彩科学の講義
日系企業TT FTS社長からタイでの製品ニーズの説明を受ける(左端)

企業訪問を通して、自分たちが学んでいる情報工学は多くの場面で必要であり、重要であることを学びました。具体的な「生」の話を聞けたので、自分のビジョンを想像しやすくなりました。また、タイの文化や人に触れ、たくさんの刺激を受けとても貴重な経験になりました。

バンコク・スラム街の福祉施設で移民の子どもたちと交流(左端)
タイの伝統衣装を身につけて世界遺産アユタヤを堪能(中央)

学期中の休日はどこで何をしてどのように過ごしていますか?

映画や音楽鑑賞、スポーツ観戦、地元の友達と交流しています。その他にアルバイトをしたり、サークルにも参加しています。

 

長期休暇はどこで何をしてどのように過ごしていますか?

旅行、バイトですね。昨年は、北は北海道、南は石垣島、他には京都、関東など旅行や帰省を通して、新たな発見と自分を探しています。

 

学生時代に挑戦したいことはありますか?

留学をしたいですね。プライベートではサーフィン。IT資格も取得したいです。

 

どこに留学したいですか?

アメリカに留学したいです。AIの最先端はアメリカだと思うので、自分の肌で感じて学びを深めたいです。

 

将来の夢や人生の目標はありますか?

グローバルな環境でITに関わる仕事に就きたいです。システムエンジニアとして活躍し、世界を旅したいです。

 

大学に入学してみて、情報工学の魅力や面白さは何だと思いましたか?

世の中で必要とされている利便性、安全性、機能性を網羅した新たな取り組みを色々な分野で展開できるという、新しい発見の連続があることです。

 

名城大学に入学して良かったと思うことがあれば教えてください。

タイ研修ですね。授業や課題など大変なことや、仲間ができて、考えを交わし合う機会が増えました。

グローバルエンジニア研修(タイ)で交流した現地の学生たちと(右端)
お世話になった滞在先、ラジャマンガラ工科大学の学長を囲んで(右から2番目)