タイの国立大学であるラジャマンガラ工科大学タニヤブリ校(以下、RMUTT)と本学は2013年に学術交流協定を締結したあと、2014年に1年間、本学部の川澄未来子先生が研究滞在したことをきっかけに本格的な交流が始まりました。
毎年夏に10名程度の名城生の海外研修を受け入れていただいているとともに、本学もRMUTTの研究者や学生の研究滞在を受け入れています。今年4〜5月に川澄研究室に研究滞在されたチョンプー先生とキチロー先生に共同研究についてお聞きしました。
日本色彩学会で発表するチョンプー先生(左)とキチロー先生(右)
自己紹介をお願いします。
Chompoo)RMUTTマスコミュニケーション工学部印刷工学科で教員をしています。専門分野は色彩科学で、カラーリサーチセンターの代表もしています。チュラロンコン大学(タイ)大学院で博士の学位を取得しましたが、その時の指導者が色彩工学の第一人者・池田光男先生でしたので、日本人や日本にはとても馴染みがあります。
Kitiroj)チョンプー先生と同じ所属で、専門分野も同じく色彩科学です。立命館大学大学院で博士の学位を取得したので、日本で9年半生活した経験があります。名前に漢字をあてて「吉朗(きちろう)」と自己紹介しています。今年は4月から2ヶ月間、キャンパス隣接のゲストルームに滞在して、川澄先生の学生さんたちと共同研究を進めました。

今回の研究テーマについて教えてください。
Chompoo)RMUTTには蓮と睡蓮の品種開発のために設立されたロータスミュージアムがあります。そこで咲く睡蓮を使って、さまざまな色パターンの花弁に対して人が象徴的に感じる色彩や感性のデータを分析しています。今年は4〜5月は名城大学で、7〜8月は川澄研究室の大学院生がRMUTTに滞在して実験しました。
Kitiroj)今回は2つの研究に取り組みました。1つ目は、日本色彩学会で川澄先生が主導する「美しい色風景」プロジェクトで集めた景観写真に対する色彩データの分析です。日本とタイでは気候や文化が異なるため、景観に現れる色彩も異なります。2つ目は味覚語(Sweet、Sour、Salty、Bitter、Spicy、Umami)に対応する色彩の調査で、これも日本とタイでは料理や食材が異なるため関係性に差異が現れる興味深いテーマです。

滞在中のほかの学術活動があればご紹介ください。
Kitiroj)7月から名城大学の学生3人がRMUTTに1ヶ月間、研究滞在するため、その実験準備(計画や機材手配など)を支援しました。また、8月には10人がRMUTTを拠点に6日間研修するのに備え、日本で事前に講義しました。

Chompoo)金属材料表面の精密な光学計測のために、川澄先生や学生と一緒に熊本へ出張しました。2016年の熊本地震から10年経過し、熊本城の再建が進んでいる様子を見学しましたが、今年7月に再び大地震に見舞われ、被害状況に心を痛めています。

日本での休日はどのように過ごされましたか。
Kitiroj)タイでは今、抹茶が大ブームです。日本の滞在が5月だったので、抹茶の産地として有名な愛知県の西尾にて、初めて茶摘みを体験しました。これまでにも世界遺産・白川郷に出かけたり、昨年は長良川で鵜飼いを見学して新鮮な鮎を味わう経験もしました。中部地区の歴史や文化を楽しんでいます。

RMUTTで本学の学生たちの研究の様子を教えてください。
Chompoo)3人の学生がそれぞれに実験を企画し、3週間でタイの学生のべ150人が被験者として参加しました。互いに英語が母語ではない中で実験意図を正確に伝えるのは容易ではありません。3人とも苦労しましたが大きな学びになったと思います。

今後の目標を教えてください。
Kitiroj)学生時代に海外で苦労しながら研究するのはかけがいのない経験です。また、協定を結んだ大学同士は信頼関係があるので、キャンパス内で安全に生活しながら異文化理解を深めることができます。今後も双方の大学で協力しながらグローバル人材の育成に貢献していきたいです。
Chompoo)国際的なデータ収集と比較・分析、共著の論文の継続的な執筆は、研究者として大きな意義があります。日本の研究者と協力しながら色彩科学や色彩工学の分野を盛り上げ、タイだけでなくASEAN地域の研究レベルの向上に繋げていきたいです。
