名城大学では、2000年に理工学部の学科として情報科学科が設立され、2022年に名城大学の10番目の学部として情報工学部が誕生。そして、2026年4月、満を持して大学院情報工学研究科が開設されました。そこで開設にあたって、研究科長である佐川雄二先生に、大学院で学ぶ意義や目標についてお聞きしました。
佐川雄二先生
学部4年間だけで終わらず6年間継続して学ぶ意義はなんでしょうか。生成AIが知的作業を代行する時代でも、社会は「修士卒の人材」を求めているのでしょうか。
生成AIが知的作業を代行する時代「だからこそ」、より高い知的生産を行う人材として修士卒の人材に対する期待とニーズは高まっていくと思います。
修士課程に進学する人はどんなタイプの人でしょうか。やはり、成績優秀な人たちや研究者を目指す人たちが多いのでしょうか。
そういう人もいますが、成績はあまり良くないけどコンピューターを触ったり何か作ったりしているのが好きな人や、特に研究者を目指しているわけではないけど、研究を通して課題の解決方法や課題の本質を見極める力を養いたいと思っている人など様々です。
初年度は学部推薦による進学率が初めて35%にまで上がりました。過去には20%以下だった時代もあります。今後に向けて目標があれば教えてください。
将来的には7〜8割くらいになってくれるといいな、というのはありますが、まずは半分、進学組が多数派、という状態にはもっていきたいですね。
他大学出身者も含めて、他分野の卒業生も積極的に受け入れる方針と聞きましたが、理由を教えてください。
情報技術は、DXによりあらゆる分野の産業に、AIによりあらゆる人間の活動に影響を与えるようになりました。こうした技術の担い手が理工系の一部の分野のバックグラウンドを持つ人間だけという方がむしろ奇妙だと思いませんか。
社会人学生の入学も歓迎しているとのこと、DXやAI活用課題に取り組む企業の社員で、例えば情報工学のバックグランドがなくても対象になるのでしょうか。
これがなければ目の前の課題が解決しない!となれば、必要な情報工学の知識をその時点から獲得するのは、特に使い道のない知識をダラダラ勉強するよりは圧倒的に速いです。強いモチベーションの方が大事という意味では、社会人学生には大いに期待しています。
社会人学生が仕事と学業を両立させるために、オンデマンド受講やオンライン指導などの用意はあるでしょうか。
リモートでの指導については、各種ツールも我々教職員の経験値も上がってきました。できる限りのサポートを考えています。
4年で卒業して一旦就職し、例えば10年後に社会人として修士課程で学び直す形でも意味はあるでしょうか。
大学院での学びに年齢制限はありません。入学条件を満たせば何歳でも入学していただけます。社会経験を経て具体的に解決したい社会課題があれば、より修士での学びが深くなるでしょう。
グローバル人材の育成が求められる中、留学生と一緒に学ぶ機会も重要と思われます。留学生が入学する場合、学部と同様にN2レベルの日本語能力が求められますか。
入学要件としてN2を求めていませんが、英語で受講できる国際コースを設けているわけではなく学内手続きや科目受講は日本語での読解や議論が中心となるので、N2レベル以上の日本語能力がある方が、日々の学びや経験が深められます。
修士卒の場合の就職先は、学部卒と大きく変わりますか。
大企業への就職率は修士卒の方が高い傾向にあり、グローバル企業といわれる製造大手、通信大手、コンサルファームなどへ就業するケースは多くなります。就職決定率は、学部卒・修士卒ともほぼ100%です。
修士課程(博士前期課程)だけでなく、博士課程(博士後期課程)もありますか。
今年度スタートした情報工学研究科の修士課程(1期生)の修了に合わせて、現在の進学先である「理工学研究科電気・情報・材料・物質工学専攻の博士後期課程」を「情報工学研究科情報工学専攻の博士後期課程」に改組する予定です。
博士課程に進むのはどんな人ですか。進学する意義はなんでしょうか。
博士の学位は自立した研究者として認められた証拠なので、研究職を目指す人が多いです。就職先としては、大学や政府機関だけでなく企業の場合もあります。
生成AIの利用はますます高まり、情報工学は社会全体に必要不可欠な知識・技術としてますます浸透すると思います。名城大学大学院情報工学研究科では、どのような人材を輩出したいのかお聞かせください。
情報工学という山は、その裾野が広がるにつれ、頂はますます高くなっています。社会が求める情報技術者のレベルはどんどん高くなっているということです。名城大学大学院情報工学研究科は、そのニーズに応え、単にツールを使いこなすだけでなく、課題の本質を見極め、解決策を設計・実装できる人材、さらに異なるバックグランドを持つ人々と協働し、新しい価値を創造できる人材の育成を目指しています。



