学部では「コンピュータグラフィックス」「マルチメディア基礎」、大学院では「コンピュータグラフィックス特論」を担当されている田中敏先生に、ご自身の研究と学生たちの印象についてお聞きしました。
スマートグラスを装着する田中敏光先生
先生の自己紹介をお願いしていただけますか?
1959年生まれのじいさんです。修士課程を卒業後、NTTの研究所に10年務め、その後は大学で教員をしています。子供のころからアニメや特撮に興味がありたくさん見ました。
最近は少なくなりましたが、毎期1、2作は見ています。この10年の趣味は家庭菜園で、屋上で野菜を育てています。また、壁面緑化のために長芋を植えたりもしています。あと、運動する機会が無いので、晴れた日には自宅から大学までの約10Kmを自転車で通勤しています。
先生の専門分野とその面白さを教えてください。
1つはCGで、今はフロントガラス上の雨を表現する方法を研究しています。物理法則に従って流れ落ちる動きに加えてワイパーによる大きな移動も表現する必要があり、かつ、リアルタイム表示が必要です。正確さ重視の物理表現と見た目重視のごまかしをどうバランスさせるかが面白いところです。
もう1つはヒューマンインタフェースで、スマートウォッチの画面を使った文字入力方法を研究しています。小さい画面をどう使うと効率的かを考えるところが面白いところです。
最近の研究テーマを教えてください。
CGでは、先ほどのフロントガラスの表現のほか、人が歩いた跡に生じる汚れや傷、塗装の剥離の表現方法を検討しています。こちらは、人が通過する頻度に応じて傷や汚れの量や塗装がはがれる割合を変えることで、人の流れを表現できる床面テクスチャを作る研究です。
ヒューマンインタフェースでは、スマートウォッチの文字入力の他に、スマートグラスでの利用や寝転がっての利用を目的として、指先を見る必要がない文字入力手法の開発と専用キーボードの作成を行っています。
学んだことや身につけたスキルは、卒業後にどのように役立つのでしょうか?
大学で学べる知識は初歩的・基礎的なものが多いので、「勉強したことが直接仕事で使える」といったことは少ないかもしれません。しかし、勉強するうちに身に着けた「知識を獲得するための手順」や「問題を解決するための手順」は現実の問題を解決するときに使えるはずです。
プログラミングを例にとると、1つの言語が理解できていれば、仕事で使う言語が異なっていても、類推や想像、少しの調査でなんとなく分るものです。
名城大学情報工学部の学生たちの印象を教えてください。
卒業研究で接している学生さんの多くは素直で真面目です。半分くらいは、楽しい人たちです。ただ、もう少し最初から自己主張をしてもいいのではと思うこともあります。また、欲が無いというか無駄を嫌うというか、見切りが速い人がいて、惜しいと思うことはあります。
授業で接する学生からは、細かいことを気にしすぎる、消極的、と感じることがあります。少数ですが、手抜きしすぎのしすぎではと思う学生もいるのが残念なところです。