学部では「基礎ゼミナールI,II」「電磁気学」「フィジカルコンピューティング」「センサ工学」、大学院では「知的信号処理特論」を担当されている向井利春先生に、ご自身の研究と学生たちの印象についてお聞きしました。
向井研究室のメンバーと一緒に。向井利春先生(左端)
先生の自己紹介をしていただけますか?
群馬県出身です。大学で東京に出て、学部、修士、博士課程で計数工学という分野を学びました。聞き慣れないかもしませんが、物理や数学をベースに、情報、電気、システムなどの要素を加えた工学の分野です。
卒業後、理化学研究所に就職しました。この研究所は基本的にプロジェクト制で、数年間でプロジェクトを移動します。途中、1年間のフランス留学を挟みつつも理化学研究所にいたのですが、2015年に名城大学に転職してきました。
休日はどのように過ごしていますか。
自宅ベランダからの天体観測を楽しんでいます。望遠鏡の動きの制御や、CCDカメラで捉えた天体画像を何十枚も位置合わせして合成したり、Wavelet変換でノイズ除去をするなど、情報の知識がいろいろなところで役立っています。また、最近は趣味と実益を兼ねて、競技プログラミングに挑戦しています。
先生の専門分野とその面白さを教えてください。
広く言えばセンサ情報処理を扱っています。センサはこの世界の状況をコンピュータで扱える情報として取り込むためのものです。センサがあることで実際の状況に対応した処理ができるようになるので「センサを制するものはシステムを制する」などと言われています。
私は、センサ情報を介護や福祉に活かす方法を研究しています。具体的には、介護・福祉機器やロボットにセンサを活かす方法を研究しています。
最近の研究テーマを教えてください。
現在中心的に取り組んでいる分野は、シート状の触覚センサをベッドに敷いて、その上に横になっている人の生体情報を取得する研究です。触覚センサからは圧力分布の時間経過の情報が得られます。
このセンサ出力には体の活動のいろいろな影響が含まれますが、信号処理、パターン処理などを行うことで、呼吸数、心拍数やその時間変動、寝姿勢、寝返りの情報が得られます。さらに、呼吸数や心拍数の時間変動から、ストレス状態などもわかります。
学んだことや身につけたスキルは、卒業後にどのように役立つのでしょうか?
大学で一番身につけるべきことは、課題解決、論理的思考、状況判断、新しい知識習得などを行うための知的な基礎体力だと思います。
授業や卒業研究はこのような能力を身につけるための例題であって、大学で学んだ知識や技術が役に立つこともありますが、それよりも卒業後に直接役立つのは、就いた仕事の分野特有の知識です。また、このような知識は年々更新すべきものです。大学では、卒業後の学びをスムーズに行うための基礎作りと捉えるのが良いと思います。
名城大学情報工学部の学生たちの印象を教えてください。
いろいろな人がいますが、全体的な印象としては、課題にしっかりと取り組む堅実な学生が多いと感じています。