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「文系の言葉を理系の言語で解析する自然言語処理の面白さを伝える」佐川雄二先生に聞く。

自然言語処理 研究室 / 佐川 雄二教授

「文系の言葉を理系の言語で解析する自然言語処理の面白さを伝える」佐川雄二先生に聞く。

学部では「コンパイラ」、大学院では「言語処理特論」を担当されている佐川雄二先生に、ご自身の研究と学生たちの印象についてお聞きしました。

ゼミで指導する佐川雄二先生

 

先生の自己紹介をお願いします。

2000年に理工学部情報科学科が設置されたときに名城大学に赴任しました。当時は一番の若手教員でしたが、四半世紀が過ぎ、とにかく「老害」とだけは言われないよう、柔軟な思考を心がけています。

太りやすい体質で、赴任当時は今より20kg以上はありました。痩せられた主な原因はランニングで、フルマラソンに出るほどはまっていますが、コロナ以降は練習量減と加齢のためタイムは落ちる一方となり、モチベーション維持に苦労しています。

「びわ湖マラソン2025」の完走記録証
「びわ湖マラソン2025」の完走記録証

 

先生の専門分野とその面白さを教えてください。

自然言語処理という、日本語や英語のような人間の使う言葉を扱えるAIを研究しています。扱っているのが文字で地味なこともあり比較的マイナーな分野でしたが、Chat-GPTが脚光を浴びたおかげで、説明しやすくなりました。

言葉というこれまで文系学問の対象とされてきたものに理系の切り口を加えるという点で面白いですし、応用面でも最近はネット上に言葉で書かれた情報が氾濫しているので、研究のネタは尽きることがありません。

 

最近の研究テーマを教えてください。

文章をチャット風のようなとっつきやすい表現に自動変換したり、相関図のように重要な点を可視化する研究、ネット上に莫大に存在する音楽やファッションなどの情報から好みに合ったものを推薦してくれたりSNSへの投稿が炎上しないかチェックしてくれるシステムの研究を行っています。

チャット変換
チャット変換

相関図生成
相関図生成

 

また大規模言語モデル(LLM)が文章を自動生成してくれる時代になりましたが、全体の整合性や一貫性という点では今ひとつですので、そういった点を改善する研究もしています。

コードドキュメント生成
コードドキュメント生成

 

学んだことや身につけたスキルは、卒業後にどのように役立ちますか?

スキルはアイデアを形にする過程で必要となるので、どのスキルが卒業後役立つかは進路によって異なりますが、できるだけ多く身につけておくと良いと思います。

ただ、スキルはいずれ新しいスキルに取って代わられたりスキルそのものが不要になったりするので、その時に新しいスキルを素早く吸収したり、場合によっては自分自身で新しいスキルを作り出すために役立つのが、物事の根本というか原理原則の理解であったり、学んだり考えたりする方法自体を身につけておくことです。

ゼミで研究テーマについて学生と議論する佐川先生
ゼミで研究テーマについて学生と議論する佐川先生

 

名城大学情報工学部の学生たちの印象を教えてください。

良い意味でも悪い意味でも「やればできる子」が多い印象です。入試や授業の成績はパッとしないのに、卒業研究で興味のあるテーマに触れるとものすごくやる気を出して素晴らしい成果を上げてくれた人はたくさんいます。

一方で、「やればできる」ことに気づかないというか「自分はどうせダメ」と決めつけていて何もやらない人、逆に「やればできる」から今はやらない、そのうちやると思い続けてそのまま終わってしまう人が多いのも事実で残念です。

佐川研究室の学生と一緒に
佐川研究室の学生と一緒に