小中英嗣先生の研究室に一年間(2025年4月〜2026年3月)研究滞在されている大石健二先生に、ご自身の研究と学生たちの印象についてお聞きしました。
小中先生(右)との共同研究を学会発表する大石健二先生(左)
先生の自己紹介をしていただけますか?
日本体育大学体育学部所属の大石健二です。大学名は「にほん」ではなく「にっぽんたいいくだいがく」です。スポーツの国際大会にて用いられている応援コールは、「にっぽん」ですよね。応援コールと同じと覚えて頂けますと幸いです。出身大学ならびに大学院は日本体育大学であり、体育大学生に多く見られる中学から大学まで同じ運動部(陸上競技部)に所属していました。
競技者として誇れる競技成績を残すことはできませんでしたが、日本体育大学に着任後ライフセービング部部長(指導者)として、学生日本一(インカレ優勝)も社会人を含めた日本一(日本選手権優勝)を獲得することができました。この成績は、私のスポーツに関する最も優れた成果です。

右写真:ライフセービングの世界大会「第10回ワールドゲームズ」で教え子が獲得した金メダル
専門分野とその面白さを教えてください。
日本体育大学では、学部授業として「スポーツ測定評価学」を担当しています。本授業では、大会や練習試合における得点傾向の把握をはじめ、選手の移動距離、パス回数、シュート回数などの各種データを対象に、測定方法と分析方法を学びます。
私の経験談になりますがライフセービング部部長就任後、最初に実施したのが過去約5年間の日本選手権とインカレの得点データの分析でした。練習環境も踏まえながら「確実に得点を狙うべき種目」と「条件が整えば得点が期待できる種目」を整理しました。その結果に基づき、各種目に配分する練習時間を大きく見直すとともに、選手スカウトの方法も刷新しました。
日本一を獲得できた際には、分析に基づく取り組みが成果として結実したことを実感しました。さらに、ビーチハンドボールにおいても同様に、分析結果を踏まえた戦術を実践し、ビーチハンドボールではアナリストとして日本一を経験し、データ活用の可能性を強く確信し、興奮したことを覚えています。

なぜ本学を在外研究先に選ばれたのですか?
近年、スポーツパフォーマンス分析として、試合中のスタッツデータ(収集された統計資料や統計データ)を扱う研究はスポーツ科学領域にとどまらず、統計学や理工学、情報学など様々な学問領域において数多く見られるようになりました。
私が現場で扱っていたデータも決して大規模なものではありませんでした。ただし、スポーツ科学領域以外の研究領域では、私が扱ってきたものとは異なるビッグデータを用いた研究が大半を占めていました。私としては、スポーツ科学領域にとらわれず、上記のスポーツに関するスタッツデータを用いた研究に興味関心を抱いておりましたが、これらの研究は機械学習の手法や測定機器の精度検証に主眼が置かれておりました。
私の興味関心の競技成績そのものに焦点を当てた研究を調べていくと、必ず名城大学の小中英嗣先生の研究に行き着きました。こうした経緯から、私は次第に「競技成績に関する研究において、小中先生は国内を代表する研究者である」と強く認識し、在学研究先として名城大学小中研究室を志望いたしました。

最近の研究テーマを教えてください。
所属も母校も日本体育大学ということもあり、大学スポーツにおける競技成績に関する研究が主な研究テーマになります。昨年度まで、日本体育大学男子サッカー部は関東大学サッカー連盟2部リーグに所属していました。今年から1部リーグに昇格しましたが、この2部リーグと1部リーグのレベル差が私の関心事でした。
そのため、今年度は、小中先生との共同研究として2つの学会にて、関東大学サッカーの定量的実力評価について発表しました。この文章の作成時に、研究対象の日本体育大学男子サッカー部が9年ぶりにインカレで4強入りが決まりました。本研究成果から4強入りの可能性なども検討していたため、試合を楽しむ1つの容認になったことは間違いありません。
情報工学部の学生たちの印象を教えてください。
体育学部出身の私にとって、在外研究期間中に情報工学の基礎を体系的に学べる機会は大変貴重であり、学部・大学院の授業に参加させていただきました。
4月当初、教室の場所が分からず戸惑っていた際、情報工学部の学生に自然に声をかけていただき、丁寧に教室まで案内してくれました。この場をお借りして改めて感謝申し上げます。さらに、小中研究室の4年生や大学院生との研究ミーティングからも、思いやりがありコミュニケーション力にも優れた学生が多いという印象があります。
今後のご予定や目標を教えてください。
在外研究期間中は自身の研究テーマに加え、平田さん(修士2年)と川澄先生とのハンドボールゴールキーパーの視線戦略の研究にも取り組む機会をいただきました。その成果が学会賞の受賞につながったことは大きな励みであると同時に、体育と情報工学を架橋する新たな研究領域を切り拓く可能性を実感する貴重な経験となりました。
また、名城大学と日本体育大学は2014年に包括連携協定(https://www.meijo-u.ac.jp/news/detail_18061.html)を締結しております。そのため、今後は、小中先生との共同研究を継続・発展させることだけはなく、両大学の連携がより一層深まり、教育・研究の多様な領域において活発な取り組みへと広がることも期待しております。そして、その歩みが両大学の学生にとって新たな学びと出会いを生み、これまでにない価値の創造へとつながっていくことを心より願っております。


