学部では「人工知能」、大学院では「パターン情報処理特論」を担当されている山田啓一先生に、ご自身の研究と学生たちの印象についてお聞きしました。
ゼミで指導する山田啓一先生
先生の自己紹介をお願いします。
電気に興味があり、大学では電気・電子工学を学びました。一時はオーディオアンプの制作に熱中しました。大学院に進学し、研究で計測にミニコンピュータを使っていたことからコンピュータに興味を持ち、総合電機メーカーのその分野の事業所に就職しました。
その後、自動車関連の企業に転職し、自動車の知能化に関わる研究開発に携わった後、名城大学に移り、現在に至っています。

先生の専門分野とその面白さを教えてください。
私の専門分野はパターン認識、特に画像認識です。パターン認識は、機械やコンピュータが外界を認識できるようにするための基盤技術です。
人は外界からの情報のほとんどを視覚によって得ていると言われています。視覚による認識は人間が持つ代表的な知的能力ですが、それをコンピュータでいかに実現できるかという点がとても面白いと感じています。
最近の研究テーマを教えてください。
最近の研究テーマは、限られた学習データや計算資源しかない場合に、高精度な画像認識をどのように実現するかです。ディープラーニングの進展により、画像認識の精度は大きく向上しましたが、これは大量の学習データと計算リソースに依存しています。
一方、人間は少ないデータからでも効果的に学ぶことができます。このような人の学習能力に少しでも近づくことを目標に、大学院生たちと研究を進めています。学部の卒業研究については、画像認識やパターン認識の技術を用いて世の中の課題を解決する観点から、自ら研究テーマを提案してもらい、研究のプロセスを学んでもらっています。

学んだことや身につけたスキルは、卒業後にどのように役立ちますか?
学生には、研究を通して考える力を養ってほしいと思っています。また、工学とは何かについても理解を深めてもらいたいです。私が大学を卒業してから現在までの情報工学技術の発展は、当時は想像もつかなかったもので、目覚ましいものがあります。
今の学生の皆さんが卒業し、その後に経験する変化は、きっとそれとは比べ物にならないくらい大きいでしょう。しかし、大学で培ったこうした能力と学び続ける姿勢は、卒業後も社会や技術の変化に対応するためにずっと役立つと考えています。

名城大学情報工学部の学生たちの印象を教えてください。
情報工学部の学生に限らないかもしれませんが、最近の学生は以前の学生と比べて資料をまとめてプレゼンテーションする能力が非常に高いと感じます。
コンピュータと技術者のインタフェースは形式言語から自然言語を含むものに移行しつつあるため、技術開発をチームで行う際だけでなく、情報技術を効果的に活用して技術開発を行う上でも、このような情報を解釈し表現する能力は非常に重要だと思います。

