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「AIによって攻撃されるAIデバイスを防御するセキュリティ技術を磨く」野崎佑典先生に聞く。

情報セキュリティ 研究室 / 野崎 佑典 助教

「AIによって攻撃されるAIデバイスを防御するセキュリティ技術を磨く」野崎佑典先生に聞く。

学部で「情報セキュリティ」「先進プロジェクト実験1」「情報工学実験I」「アプリケーション開発」を担当されている野崎佑典先生に、ご自身の研究と学生たちの印象についてお聞きしました。

ゼミでコメントする野崎佑典先生

 

先生の自己紹介をお願いします。

名城大学理工学部情報工学科を卒業し、名城大学で博士号を取得したので9年間名城大学で学生生活を過ごしました。博士課程では日本学術振興会の特別研究員(DC2)を経験し、卒業後は名城大学特任助手を経て情報工学科へ着任しました。

学生時代はバスケットボール部や器械体操部に所属していました。最近は運動できていないので休みの日は自宅近くを散歩したり、美術館などへ行ったりするのにはまっています。また、器械体操の公式審判資格を持っているのでたまに大会の審判員としても活動しています。

最近訪れた美術館や博物館の入場券
最近訪れた美術館や博物館の入場券

 

先生の専門分野とその面白さを教えてください。

情報セキュリティ全般を専門としています。学生時代は主に暗号ハードウェアのセキュリティに取り組んでいたのですが、現在は人工知能(AI)やネットワークなど様々なレイヤーでのセキュリティ技術の研究にも取り組んでいます。

セキュリティの世界では圧倒的に攻撃者が有利で、防御者は色々な制約や条件の中で対策を確立しないといけないのですが、攻撃者の心理を考えつつ限られた条件の中で対策を考えていくのがこの分野の面白い点だと思います。

暗号ハードウェアのセキュリティ実験装置(漏えい電磁波の測定の様子)
暗号ハードウェアのセキュリティ実験装置(漏えい電磁波の測定の様子)
環境発電を用いた認証システムの実験装置
環境発電を用いた認証システムの実験装置

 

最近の研究テーマを教えてください。

最近はAIのセキュリティにも力を入れています。特に監視カメラや画像認識・人物検知などを行うエッジ側AIデバイスのセキュリティです。これらのAIに対して、AIを騙す攻撃やAIが持つ情報(モデル情報など)を盗み出す攻撃があるのですが、これらの攻撃への対策技術やデバイスを保護するための認証などのセキュリティ技術の開発を行っています。

AIのモデル情報を窃取する攻撃に関するセキュリティ実験装置
AIのモデル情報を窃取する攻撃に関するセキュリティ実験装置

 

学んだことや身につけたスキルは、卒業後にどのように役立ちますか?

学科の講義や実験、研究室のゼミ活動、卒業研究を通して、エンジニアとしての基本的な素養を身に付けられると考えています。具体的には、課題を抽出し、解決方法を考え、それを実践できる能力に加えて、それらを他者が理解できるように分かりやすく伝える能力が鍛えられます。

また、卒業研究では変化が急速な情報分野の最新テーマに触れることで、新しい技術に対して柔軟に対応できる能力も訓練されます。これらの能力はどのような進路に進んだとしても将来の糧になるものだと考えます。

院生の研究計画を指導する野崎先生
院生の研究計画を指導する野崎先生

 

名城大学情報工学部の学生たちの印象を教えてください。

非常に真面目で素直で、そして謙虚な学生さんが多いと思います。先進プロジェクト実験1という授業の課題で作品を製作してもらうのですが、とても授業の成果物とは思えない、クオリティの高い作品を作っている学生さんが多いです。

非常に面白いものを作れるセンスや能力が備わっていますので、謙虚なだけでなく、もっと自信を持って積極的にアピールしていってほしいと思います。

研究室の学生の進捗報告を聞く野崎先生
研究室の学生の進捗報告を聞く野崎先生